最近観た映画

 映画を映画館で観るというのはマルチタスク病にかかっている自分としては、そのときに映画を観賞するという行為以外ができないので、落ち着いて映画の中身に集中できていいですね。

 リラックスもできて良いということに最近気が付いた。

 

 この一か月くらいで観たものといえば『攻殻機動隊 新劇場版』『海街diary』『HERO』といった感じか。

 

 どれも三者三様に良く、攻殻は観たとき、SACシリーズ信者としてはかえって素直な作品を見せられて目から鱗が落ちた記憶があります。公式サイドの言葉を借りれば「第2の攻殻」たる押井版と「第3の攻殻」神山Stand Alone Complexはそれぞれが監督の作家性が前面に押し出された作品でそれゆえに根強い人気と影響力(押井版はハリウッドまで)を持ったのだと思う。だからだろう、「おお、攻殻面白い。名高い原作を読んでみよう」と逆流を果たした自分はそこで混乱をきたした。まず素子のキャラが全然違う。SACなんかでは上司として一目置いている荒巻部長のことをたしかサル部長呼ばわりしているのだ(たしかに姿は似ている(オイ))。

 ARIAEシリーズと新劇場版はその点、ものすごく原作によりそっている。そして独立愚連隊の愉快な仲間たちがつくづくギクシャクとしながら大事なところではぴっちり息が合う。それも観ていて快感だった。

 士郎翁の偉大な先見性に支配されてつぶされることなく、映像化する。それを可能にするには大押井や大神山の尖った個性で対抗するしかなかった。『イノセンス』のあまりの難解さに辟易した自分としてはそう考えてしまう。原作のサル真似をするのでなく、雰囲気とスピード感を再構築して新しいモチーフを盛り込む所業は25年経たなければ無理だったのではないか、『攻殻』シリーズは四半世紀をもってリブートされたのではないかと高揚しながら松屋でどんぶりを食う。そんな夜だった。

 

 『海街』は美人4人を鎌倉とかの綺麗な景色を背景にじっくりとってやれば、あれだけ癒し効果のある映像はきっと取れるだろうし、脇を固める役者さんたちも自分が大好きな人ばかりで最高、というのが雑感。もっと書きたいことはあるけど。脚本も安定感があってむしろそれを読みたいと思ったり(あえて小説版や原作じゃなくて)。

 『HERO』はもう一度観る。言語が違うゆえの微妙なdiscommunication描写フェチの自分としては、大衆ウケが大事な作品なのにそこらへんがきちんと描写されてかなりツボでした。しゃべってたのはフランス語?かな。本当にヨーロッパの外交事情に詳しい方が見ればツッコミどころはいっぱりあるのかもしれないけれど幸福なことに自分は素人なので存分に楽しめました。というかエンドロールで樹林伸の名前を見つけて驚き。